岡崎慎司は先発で使うべき。開幕戦を落としたレスターの失敗 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 象徴的だったのが、セントラルMFのダニー・ドリンクウォーターがボールをキープした前半のワンシーン。パスの出しどころがなく、前線の選手に「中盤へ引いてこい」とジェスチャーで強く指示を出していた。それでも一向に改善せず、1-2で敵にリードを許したまま、試合は後半の中盤に突入した。

 このタイミングで投入されたのが、岡崎だった。68分からピッチに入った日本代表FWは、こう考えていたという。

「中盤からいいボールが出れば、今日の2トップなら個の力で行ける。でも、(今のチームなら)いいボールが出てこない。だから、(最前線から中盤に)自分がひとり入るだけで、もうひとりのFWは生かせるかなと思った。

 チームが困っている感じがする。『自分が』というより、犠牲になってでも『ボールを受けよう』とすれば、自分にマークがつき、自然と次に誰かのマークが剥がれる。そうすれば、次にドリブルする奴らが生きてくる。レスターには『ボールを持てたらできる』選手が多いけど、彼らはボールを持つまで、なかなかフリーになれない。このチームはパスをうまく回せないので、敵を引きつけるような選手がいないといけない」

 岡崎の動きは、効果抜群だった。2トップの一角としてバーディーとコンビを組み、頻繁に中盤まで降下してパスを引き出した。当然、相手のボランチやセンターバックは、岡崎のマークにつく。ここで鋭くターンして敵をかわしたり、マークの剥がれた味方にパスをつなげたりすることで、攻撃の流れをスムーズにしたのだ。狭いスペースでも身体を張ってボールを受けることで、チームのパフォーマンスは著しく改善した。

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