UEFAスーパー杯でセビージャ清武弘嗣がフル出場を果たした意味 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 目利きのスカウトが、実力の割に金銭的にお得感のある選手を獲得し、ワンランク、レベルの高い選手に成長させ、金満クラブに放出する健全なスタイルを貫いている。ダニ・アウベス(バルセロナへ移籍)、セルヒオ・ラモス(レアル・マドリードへ移籍)が、その代表格になるが、今季もケビン・ガメイロというセビージャに来てブレイクしたフランス代表選手を、アトレティコ・マドリードに送り出している。

 セビージャはシンプルに清武を評価して獲得したと考えるのが自然だ。しかし、清武は日本代表でスタメンを取り切れていない選手。少なくともザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチはそう判断していた。それにまつわる異論がファンの間で噴出した様子もない。

 うまい選手であることは確かだ。ボール操作にそつがなく、相手ボール時の反応も悪くない。かつての中盤選手像に照らすならば上々の選手ながら、例えば4-2-3-1の3の選手、アタッカーとして見た時には物足りなく映る。シュート力不足、パンチ力不足。ドリブルはうまいが、推進力がない。決定的な仕事に関わる力に欠ける選手に見えた。

 アトレティコに放出したガメイロとの比較でも、その点で劣っている。セビージャ在籍時代、主に1トップ下で93試合に出場し39ゴールをマークしたフランス人選手の代役として清武を見るならば、弱いのだ。

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