UEFAスーパー杯でセビージャ清武弘嗣がフル出場を果たした意味 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 想起するのは、09~10シーズンのCL決勝トーナメント1回戦。サンチェス・ピスファンで行なわれたセビージャ対CSKAの第2戦だ。そこで本田圭佑が叩き込んだ超弩級のFK弾は、日本代表の起爆剤となった。岡田ジャパンでそれまでサブだった本田は一躍スタメンを獲得。2010年南アフリカW杯で、救世主のような活躍を見せたことは記憶に新しい。

 セビージャは、清武が日本代表の中心になれるか否か、判断の指標になるクラブ。僕はそう解釈している。その舞台に清武はスタメン選手として立った。しかも相手はレアル・マドリード。代表のスタメン争いで現状、本田、香川の後塵を拝する清武だが、ここで活躍すれば評価は変わる。岡田サンが以降、中心選手を中村俊輔から本田に代えたように、ハリルホジッチも心を変えざるを得なくなる――はずなのだ。

 UEFAスーパーカップ、レアル・マドリード対セビージャは、そうした意味で、リオ五輪より代表チームにダイレクトに作用しそうな、日本人にとって注目すべき試合だった(結果は延長の末、3-2でレアル・マドリードが勝利)。

 とはいえ、清武の2階級特進を懐疑的に見る人は多いはずだ。特進の根拠についてである。セビージャはなぜ清武を欲しがったのか。清武には本田や香川のようなコマーシャルメリットはない。お金が一緒に付いてくる選手ではない。そもそもセビージャは、そうしたヘンな色気を抱える体質のクラブではない。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る