「プリマドンナはいらない」。名将・コンテが理想とするチームの作り方 (4ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

――準々決勝の宿命のライバル・ドイツとの一戦、戦前の予想はドイツ圧倒的優位。ところが、イタリアは予想を覆し世界王者と対等に渡り合った。結果はPK戦で敗退。あの試合の終盤、イタリアに3−5−2から3−4−3へ攻撃的にシフトする選択肢はなかったのでしょうか?

 君が言わんとしている意味はもちろんわかるが、その必要はなかった。むしろ形を変えることでバランスを壊すリスクの方が高いと私は考えていた。延長後半の中身を見れば私が言わんとすることは理解できるはずだ。

 疲労が極限にまで達していたにもかかわらず、攻守のバランスはほぼ理想的な状態に保たれていた。だからこそ、延長後半に入ってもなお私は選手交代のカードを切らなかった。

 我々は現世界王者を相手に力の限りを尽くした。そして互角以上の戦い方を見せることができた。ピッチでの戦いとはまったく関係のないところで決着するのがPK戦なのだから、あの結果は致し方ない。今も、心に残る重いものを取り除くことができずにはいるが......。

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