ポグバはマラドーナ×20倍=135億円。移籍金が天井知らず (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 これらのグロテスクな移籍金と行きすぎた現状について、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は次のように苦言を述べた。

「普通の生活と比べたら、これは完全に狂ったものだ。だが我々が生きている世界では、国際的な活動のすべてが巨額のカネを生み出す。フットボールは世界的な競争となり、ゆえにいくつかのクラブはそれほどの巨額投資が可能となった。このスポーツに携わり始めてから、私は移籍金の最高額が上がることはないと思ってきたが、私はずっと間違っていた。もしかすると、1、2年後には2億ポンド、3億ポンドとなっているかもしれない」

 かく言うベンゲル監督も今夏はすでに、ボルシア・メンヘングラットバッハからグラニト・ジャカを3500万ポンドで獲得し、さらにリヨンのアレクサンドル・ラカゼットにも3000万ポンド以上を積み上げて交渉を続けているが、これくらいの額はもはや驚きに値しない。

 一方、リバプールのユルゲン・クロップ監督はよりストレートな表現で、この状況を憂いた。

「ひとりの選手の獲得のために1億ポンドを費やして、その選手がケガでもしたら、なんのためになるっていうんだ。もし、そのような移籍金が当然のようになってしまったら、私はこの仕事を辞める。フットボールは(多くの仲間と)共にプレーするものだからね。だから、私は別のやり方でチームを構築する。たとえ、それほどの資金力があったとしても」

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