コンテ監督の自負
「技術は並でも質の高いサッカーはできる」

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

アントニオ・コンテインタビュー part.2 Part.1はこちら

 今シーズンからイングランドプレミアリーグのチェルシーで指揮を執るアントニオ・コンテ。ユーロ2016ではイタリア代表を率いてベスト8進出。大会前の低評価を覆してみせたイタリアの名将が、欧州サッカーシーズンインを前に、自らの戦術のポイントを語った。

ユーロ2016でイタリアをベスト8に導いたコンテ監督ユーロ2016でイタリアをベスト8に導いたコンテ監督

――『コンテの3-5-2は、中盤「5」の両サイドハーフが守備の局面ではサイドバック、攻撃の局面ではウイングになる部分に最大の特長がある』――こうした奇怪な見解が実に多く見られたわけですが、果たしてそれは本当に"コンテ固有の戦術"なのでしょうか。

 多くの監督たちと同じように、このサッカーの世界では誰ひとりとして発明などできない。たとえその監督の名がアントニオ・コンテであってもだ(笑)。

 もちろん、考え抜かれたトレーニングを何度も繰り返すことで細かい部分の改善も向上もできる。鍛え抜かれた選手たちが悲鳴をあげるほどハードなトレーニングを繰り返すことで、例えばユベントスがそうであったように、選手たちは自ずといくつもの戦術やシステムを体得し、だからこそ私のチームは試合中にさまざまなフォーメーションに姿を変えることができる。

 かつて率いたバーリ(2007~2009年)で、私は4−4−2をベースとしながら、その布陣は攻撃の局面では4−2−4へ。決して守備的ではない戦い方でセリエBを制し、セリエA昇格を決めた。

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