イタリアの名将コンテ「勝利のマネジメント術」を自信満々に語る (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 確かなのは、就任から2年間、少なくはないクラブが代表に対して協力的だったとは言えないことだ。一貫して私をサポートしてくれたのはカルロ(・タヴェッキオ=サッカー協会会長)だけ。とはいえ、それはもう過去の話。終わったことを言っても意味がないことはもちろん分かっているんだが......。

 したがって、君の質問にのみ答えることにしたい。メンバーの選考に際して、私は一度として周囲の声や評価を意に介さなかった。その一切を考慮していない。自らの目だけを信じて23人を選んだ。そのうえで、最終的にメンバーを絞り込んだ際、それ以降も何度となく私は彼ら選手たちにこう伝えた。

「今、イタリア全土が、この国の全員が、俺たちを文字通り吊るし上げようとしている。曰く『この代表は間違いなくフランスの地で醜態を晒す羽目になる』らしい。OK、ならばやるべきことはただひとつ。その見立てが完全な誤りだったと証明してみせることだ。それを可能にする23人がここに集っている。どの国の代表を相手にしようが、W杯を4度制したイタリア代表である誇りを絶対に忘れるな!」

 この手の話を果たして何度、コベルチャーノでもフランスに着いてからも繰り返したことか。結果、ユーロ全5試合を通して我々が見せたプレーのひとつひとつが雄弁に物語っているように、大会前の猛烈な批判はこれ以上ないモチベーションの糧となった。

 球際で負けないなど、当たり前だ。そして、強靭な意志とプライドに裏打ちされた気迫こそが、今大会のイタリアが備えていた最大の武器にして他との違いだったと言える。普段のトレーニングからベテラン組の眼には鬼気迫るものがあった。それに触発されるようにして若手もまた日を追うごとに眼光の鋭さを増していった。マッティア(・デ・シッリョ)がそうであったように。

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