酒井宏樹の野望。「マルセイユで
絶対に取り戻したいものがある」

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 赤木真二●撮影 photo by Akagi Shinji

――では、ハノーファーで過ごした4年間でいちばん良い思い出は?

「やっぱり日本人3人で一緒に戦えた昨シーズンですね。だって、海外のクラブで1チームに日本人が3人ですからね。しかも3人で一緒に出た試合で勝利を収めることもできて。確かに結果的にチームは降格してしまいましたけど、3人でやれたことはすごく嬉しかったですし、本当に誇りに思っています。それだけ日本人選手のことを認めてくれて、日本人選手を信じて獲得してくれたということですから。

 3年目にキヨくん(清武弘嗣)が来て、4年目に蛍(山口蛍)が来て。それは、ある意味でクラブが僕のことを認めてくれたことにもなる。それは、自分の中でもすごく嬉しかったです」

――そうすると、今度はマルセイユで頑張れば、フランスで同じように日本人選手の道を切り拓くことになりますね。

「そうですね。フランスリーグにもっと日本人選手が来て欲しいと思っているので、それも目標ですね。だからこそ責任も大きいですし、まずはここでしっかり試合に出ないといけない。そして、いい結果を残さないといけないです。

 でも、結果を残そうと思いすぎると、焦ってうまくいかないこともあるので、じっくり1年、2年かけて、長いスパンで高い評価を得ていきたいです。最初からそんなにうまくいかないと思いますし、スタープレーヤーじゃないですからね(笑)」

マルセイユでの目標を語った酒井宏樹マルセイユでの目標を語った酒井宏樹――では逆に、ドイツで過ごした4年間で、まだ自分の中で改善の余地があると感じている部分はありますか?

「勝利のメンタリティですね。今、自分の中ではそれがかなり下がっていると思うので、そこは変えていかなければいけないと思っています。やっぱり昨シーズンは、どうしても『勝てるのかな?』という不安な気持ちで試合に入っていました。僕ら11人がそういう気持ちでピッチに立っていたので、さすがにそんなメンタルで試合に勝つのは難しいですよね。

 たとえばユース時代は、レイソルという名前だけで相手が萎縮しているのを感じたし、僕たちも絶対に勝たないといけない、というメンタルだった。もし試合に負けたら、監督からカミナリが落ちるという(笑)。でも、そういうメンタリティはすごく大事だと思うんです。

(柏時代の監督である)ネルシーニョ監督もそういう部分を重視していましたし、日本代表のハリルホジッチ監督もそう。やはり、新しいチームを探す過程で、勝利を義務付けられたチームでサッカーをしたいという思いはありました。

 その点で言うと、ここ(OM)は毎試合勝たなければいけないクラブですから。1試合でも負けたらサポーターもメディアも大変だと聞いています」

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