C・ロナウド、ペペ...。「ブレンド型」選手がポルトガルを強くした (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 それでも、ポルトガルのフットボール文化は独特の強みを持っている。ラテンアメリカのテクニックと、ヨーロッパの力と規律──その両方を、ここまであわせ持つ国はほかにない。

  ポルトガルのクラブは毎シーズン、ラテンアメリカの若くて才能ある選手たちをたくさん獲得する。彼らはポルトガルを第二の祖国のように思い、ヨーロッパで キャリアを築く出発点にする。こうして海を渡る選手の多くは、フットボール界最強のエージェントであるジョルジュ・メンデスが世話している。彼が担当する 選手には、ジエゴ・コスタ、ラダメル・ファルカオ、アンヘル・ディ・マリア、ハメス・ロドリゲスらがいる(もちろん、C・ロナウドの代理人もメンデス だ)。

 こうしたラテンアメリカの影響がポルトガルのフットボールをつくっている。ほとんどの選手は南米らしいボールテクニックを持っているが、ブラジルのようなチームにはないスピードと戦術的な規律も兼ね備えている。

  ポルトガル的な「ブレンド型」選手の代表格はペペ。おそらくユーロ2016ではポルトガルで最も重要だった選手だ。ブラジル北東部で育ったこの頑強なセン ターバックは、常に適切なポジションをとり、タックルではほとんど負けず、それでいて30メートルのフィードを正確に繰り出す技術を持っている。

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