技術でもドイツ語でもない。宇佐美貴史「2度目の挑戦」に必要なこと (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 その後、おそらく挽回するチャンスはあっただろうが、リーグ戦で次にチャンスが巡ってきたのは第32節。ガンバの至宝にとっては苦しい1年となった。

  続いてのホッフェンハイムでは、チームの不調と相次ぐ監督交代という不運はあった。だが、そのチームを立て直すほどの活躍ができなかったことも確かだ。第 27節(2013年3月16日)に途中出場してからシーズンが終わるまでの2カ月間、宇佐美はまた試合に関わることができなかった。

 ホッフェンハイムでの宇佐美は、指揮官に自分の改善点を聞いたり、要望を伝えるために話をしにいったり、彼なりの努力をしていたと思う。だが、どことなくチームの中でうまくいっていないのではないかと感じられることもあった。

  移籍の噂が出始めたシーズン終盤のホーム戦、スタジアムに取材に行っても宇佐美の姿はなかった。ベンチ外選手は、試合後にロッカールームに顔を出すのが恒 例だが、そのグループにもいなかった。不満、苛立ち、孤独もあったのだろうが、せめてチームの一員として行動することは、チームメイトの信頼を得る第一歩 のはずだ。それができないあたりに、コミュニケーションの問題があったのではないかと推測してしまうのだ。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る