スペインで絶賛の鈴木大輔。「ロシアW杯でプレーするイメージはある」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 戦いの中で進化を遂げる鈴木の可能性は、計り知れない。例えばヘディングの競り合い一つとっても練達している。ボールが蹴られる瞬間、球に視線を 向ける審判の目を盗んではアタッカーに体を当ててボディバランスを崩し、駆け引きで優るようになった。練習から肩甲骨の張った、自分よりサイズの大きい選 手と格闘。バレーボールの女子リーグの選手だった母親の遺伝子を覚醒させていった。

 戦闘者として努力を続ける鈴木は、己の型を作らない。あらゆる経験を糧にする。プレーオフは敗戦直後こそ頭の中が真っ白になったが、失望も人生の一部と悟る。

「失敗がなければ、センターバックは成長できない。一つ一つ、積み上げていくしかないんです」

 鈴木は天の意思でも受けたような口調で言う。

「シー ズンを振り返るなら、分岐点は(終盤の38節に3位で挑んだ)2位のレガニェス戦だったかもしれません。10人の相手に勝ちきれなかった。あそこで勝って たら、自動昇格できたのは自分たちだった。そして点でなくて線で考えるなら、引き分けが多すぎました。一つでも多く勝っていたら、もっと楽に勝ち点を増や せてましたね。でも、そういうのは結果論。負けずに引き分けたことが勝ちにつながったとも言えますから。

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