1位通過はバカらしい? ポルトガルのEURO優勝が示す新トレンド (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 ある意味で、これこそが今大会で見られたトレンドと言っていいだろう。ブラジル・ワールドカップで優勝したときのドイツや、同3位のオランダなども選手をうまく使い回していたが、今大会もまた、その傾向をさらに強めたと言っていい。

  肉体的負荷が大きい現代サッカーでは、こうしたローテーション制が(週1試合のリーグ戦ならともかく、こうした短期決戦では)ますます重要視されるはず だ。例えば、4試合すべて同じ先発メンバーで戦い続けたスペインのようなやり方では、どこかで息切れするのは必然だったということだ。

 また、ポルトガルがグループリーグ3位通過から、最終的に優勝したことは、今後のこうした大会の考え方を変えるきっかけになるかもしれない。

 明らかに力が劣るチームがいくつかあって、優勝を狙うチームはどこかで息を抜ける試合があればいいが、実際はそうではない。

 24カ国が出場できるようになり、実力差が広がったと言っても、その差は昔に比べれば小さく、ちょっとしたことで思わぬ結果につながりかねない。事実、今大会では、グループリーグを3連勝で突破したチームはひとつもなかった。

 さらに言えば、1位で通過することがその後のトーナメントの戦いを有利にするかどうかも疑わしい。今大会でも、トーナメントの片方の山に有力国が集まったように、他グループの結果次第で、実は1位通過より2位通過のほう有利だった、などということも起こりうる。

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