1位通過はバカらしい? ポルトガルのEURO優勝が示す新トレンド (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 24カ国が6組に分かれてグループリーグを戦い、16カ国が決勝トーナメントに進出できるため、グループ3位でもグループリーグを突破できた(各組3位の6カ国うち、成績上位の4カ国が決勝トーナメントへ進出)。

 その結果、初戦から2連敗しても、最終戦で勝てば突破の可能性があり、最後までハラハラドキドキの試合が展開されることにはなった。消化試合がほとんどなくなったと、好意的に見ることはできるだろう。

 だが、その一方で、3位でも突破の可能性があることで、「最悪引き分けでもOK」という守備的な試合を増やす結果にもつながった。正直、退屈な試合も多く、大会全体で言えば、好勝負は少なく、決してレベルの高い大会ではなかった。

 象徴的なのは、優勝したポルトガルだ。

 ポルトガルはグループリーグを3引き分けのF組3位で辛くも突破し、最終的に頂点までたどり着いた。

 加えて言えば、ポルトガルは決勝トーナメントに入ってからも、4試合のうち3試合が延長戦突入、うち1試合はPK戦決着と、90分での勝利はわずか1試合しかなかった。

  つまり、90分での試合結果で言えば、今大会7試合を戦って1勝6分け。見事なまでに、「負けないサッカー」で初の栄冠を手にしたことになる。グループ3 位通過からの優勝は、本命と見られた国が思ったほど力の差を見せつけられず、波乱の多かった大会を象徴する結末だった。

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