鈴木大輔が語る、スペイン2部リーグの現場で何が起きているのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

「自分では、そこまでの覚悟とかではなくて。海外でプレーすると決めちゃったから仕方ない、という感じだったんです。バカになれるのが才能なのかもしれません」

 そう語る鈴木は楽天家だ。成功するか失敗するか、より、やってみるだけと開き直れる。好奇心、冒険心が豊富で、失望ということに鈍感。突っ走れる性分が彼を後押ししたのだろう。

  3月、右サイドバックの出場停止によってポジションを得ると、4試合連続先発フル出場。その後、リーグ戦終盤にはセンターバックとしての先発機会をつか む。そこで如才のないプレーを見せると、9試合連続先発フル出場を果たすことになった。そして5勝4分けと無敗に貢献。わずか5失点という守備の安定をも たらした。

 1部昇格を目指していたナスティックは、鈴木のおかげで3位に定着(1、2位は自動昇格。3~6位で残る一つの枠を巡ってプレーオフが行なわれる)。最終節を前に自動昇格の2位も可能な状況になったが、最終節で2位レガニェスが勝利したことにより自動昇格は逃している。

「自 分が入団して間もない頃だったんですが、ロッカールームで選手たちがどんちゃん騒ぎしていることがあったんです。"なんで、ここまではしゃいでいるんだろ う?"と驚いて聞いたら。『喜べ、(数字的に)2部残留が決まったぞ!』って。ナスティックは今シーズン、2部に上がってきたばかりのチームなので、最初 は残留することが目標だったんですよ」

 残留を確定させたナスティックで、鈴木は昇格の旗手となっていった。

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