C・ロナウドを欠いて栄冠。頼りなさげなポルトガル指揮官の見事な采配 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 C・ロナウドはポルトガルの大エースだ。というか、リオネル・メッシと常に世界一を争うスーパースターだ。メッシのいないアルゼンチンとC・ロナ ウドがいないポルトガルと、どちらが貧弱に見えるかと言えば後者。ポルトガル優勝の可能性はこの瞬間、ほぼなくなったかに思えた。65対35だった力関係 は、80対20にまで開いたような感じだった。

 C・ロナウドが前半早々、舞台から消えたフランス対ポルトガルとは、気の抜けたビールを飲まされるようなもの。結末が簡単に予想できるサスペンスを読まされているようなもの――という読みは甘かった。

  試合はそうならなかった。立ち上がりから順調に進めてきたフランスは、この事件を境に、勢いを失っていく。絶対に負けられない戦いの呪縛にはまったことも あるが、スタッド・ドゥ・フランスを埋めたフランス人の観衆が、担架に担がれ退場するC・ロナウドに、万雷の拍手を浴びせかけたことも影響しているように 見えた。少なくともパイエやエブラにとって、そこは居場所の悪い空間になった。

 ポルトガルのフェルナンド・サントス監督は、C・ロナウドに代わってリカルド・クアレスマを投入。布陣を4−1−3−1−1と言うべき4−1−3−2から、4−3−3に変えた。

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