EURO珍事。敗者を気づかうアイスランドサポーターがいい人すぎる (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 今大会、最も明るい話題を振りまいてくれたのがアイルランドのファンだろう。とにかく陽気なアイルランド人は各地で友好的な振る舞いを見せ、その様子はSNSを通じて世界中に広められ、多くの賛辞を浴びた。

  電車内に小さな子どもがいたため、騒ぐのをやめて子守唄を歌ったり、現地でゴミ拾いをしたり。「フランス警察のために立ち上がろう!」と歌って、「フラン ス警察のために早く(ホテルに)帰ってくれ」と返されたり、バンバン叩いてしまった車に修理費として窓から現金を詰め込もうとしたり。現地のフランス人女 性を百人近くで囲んで「君から目が離せないよ!」と歌うひと幕も。彼らの残したエピソードは枚挙にいとまがない。

 対戦国のサポーターや住民と陽気に交流するその姿勢はパリ市長からも評価され、そのスポーツマンシップが称えられて勲章が贈られることになった。

 ラウンド16の行なわれたリヨンでアイルランド人たちに遭遇した。カメラを持ってインタビュー取材をお願いしようとすると、わらわらと他のファンが寄ってきてしまい、取材にならないくらいだったのだが、人柄のよさはすぐに伝わってきた。

  スタジアムのゲート前では、フランス人の女の子がアイルランド人ファンに、記念撮影をお願いしていた。だがどうもそのおとなしい様子に満足できなかったの か、「もっとクレイジーな感じでお願いできる?」と注文。すると彼らは「俺たちはそういう感じじゃないんだよね」と言いながらも、 「Yeah!!!!!!!」といきなり叫び始め、しっかり要求に応じてあげていた。

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