優勢なのに負けたドイツ。サッカーはうまいがゲルマン魂が足りない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 フランス代表で唯一のCLファイナリスト。勝ち運を持った選手だ。そのグリーズマンが、布陣の中にいい感じではまりだしたのは準々決勝のアイスラ ンド戦あたりからだ。ジルーとの2トップの一角、あるいは1トップ脇、4-2-3-1の3の真ん中あたりに収まり、アトレティコと同程度の輝きを発揮する ようになった。

 フランス代表で、グリーズマンと同じくらいの知名度を誇るのがポール・ポグバだ。後半28分、フランスは、そのポグバの大胆なマイナスの折り返しによって追加点のチャンスが生まれた。

  ドイツDF陣の混乱に乗じ、左サイドでシュコドラン・ムスタフィと1対1になると、ポグバは大方の予想を裏切り、縦に切り返して出ていった。ゴールライン 際から真ん中にふわりと浮くボールを折り返す。これをフィスティングで逃れるノイアー。だが、その弾いた先には俊敏なグリーズマンが嗅覚鋭く構えていた。 これを突っつくように蹴り込み2−0。

 かつてのドイツは、2点差をつけても油断できる相手ではなかった。ゲルマン魂を武器にヒタヒタと攻 撃を開始し、気がつけば同点、逆転という展開に持ち込むパターンをこれまで幾度となく見せられてきた。追って強い。終盤の怖さはピカイチだった。そこにドイツサッカーの真髄があった。

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