ベイルが見せたウェールズ魂。レアルとは違う「友と一緒に戦う喜び」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 言うまでもなく、MFガレス・ベイルである。

 この大会、ベイルは本当にイキイキとプレーしていた。レアル・マドリードでプレーするのとは違い、自らビルドアップからチャンスメイク、さらにはフィニッシュまで、やらなければいけない仕事は多かったが、ベイルは常にチームの先頭に立ち、男気あふれる活躍を見せた。

 準々決勝のポルトガル戦での走行距離は、チーム5番目。フィニッシュに専念するのではなく、水も運んだ結果である。

 試合終盤になると、さすがに疲労が隠せなくなっていた。ヒザに手をやり、肩で大きく息をする姿も見られた。それでも最後まで足を止めなかった。

 クラブチームで選手としての高い地位を築いてしまうと、代表チームでプレーすることにそれほど価値を見出さないスター選手も少なくないなか、ベイルはウェールズ代表でプレーすることに、どれだけ誇りを感じているかが見てとれた。

 うまくプレーできないときでも、イライラした様子を見せたり、仲間に文句を言ったりするような、悪い意味で「スーパースター然」とした態度を見せることは絶対になかった。

 やらなければいけない仕事が多く、スーパープレーばかりを見せ続けられたわけではなかったが、「ウェールズのベイル」からは「レアルのベイル」にはない、人間的な魅力が伝わってきた。

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