ベイルが見せたウェールズ魂。レアルとは違う「友と一緒に戦う喜び」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 何より落ち着きが違った。大会のはじめのころとは違い、オタオタとした感じがなくなり、堂々とプレーできていた。大会中にどんどんうまくなっていくかのようだった。それは決してロブソン=カヌだけが特別だったわけではない。

 だからこそ、すでに出来すぎとも言える準決勝進出だったが、ここでも「まさか」が起きるのではないか。そんな期待を抱かせた。

 しかし、結果はポルトガルに0-2。前半こそ、互いに何も起こせない展開で0-0のまま折り返したが、後半に入ると、地力の差がはっきりと表れた。

 今大会のポルトガルは試合内容こそパッとしないが、ウェールズと比べれば、明らかに戦力は充実している。まして、攻撃の組み立て役として重要なMFアーロン・ラムジーを累積警告で欠いては、ウェールズが劣勢を強いられるのは当然のこと。ある意味で妥当な結果だった。

 それでも、彼らが成し遂げた偉業は決して色あせることはない。89、90年生まれの「黄金世代」が中心となり、常にチームとしての一体感を持って戦うことができていた。

 ウェールズが試合をする先々で、いつも飲み、歌い、騒いでいたウェールズサポーターにとっても、この一体感こそが誇りであっただろう。

 だが、チームがひとつにまとまっただけで勝てるほど、ユーロは楽な大会ではない。やはり黄金世代のなかでも飛び抜けた力を持つ、世界的スーパースターの存在がなければ、この快進撃はなかったはずだ。

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