手拍子は名物に。アイスランド敗退も、ハッピーエンドでEUROを去る

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 アイスランドの選手たちは、守備ではボールに寄せていくときのいつもの激しさがなく、攻撃ではボールへのサポートが遅れ、思ったようにパスをつなぐことができなかった。

 今大会、アイスランドが格下の立場で次々に波乱を起こしてきたのは確かだが、点の取り方は堂々たるものだった。MFアーロン・グンナルソンのロングスローを生かした攻撃の印象は強いが、決してそれだけではなかった。

 イングランド戦での決勝ゴールがそうだったように、ショートパスをテンポよくつなぎ、堂々と中央突破していく。そんな攻撃は、これまでの試合で何度も見られたものだ。

 だが、この試合ではそんな攻撃は鳴りを潜めた。あと一歩の足が出ず、相手に体を入れられ、屈強なアイスランドの選手が何度もピッチの上を転がることになった。残念ながら、アイスランドは今までのアイスランドではなかった。

 それでも、最後まで勝負をあきらめない姿勢は称賛に値する。いずれもサイドからの鮮やかな崩しで、2点を返した。

 あくまでも結果論にすぎないが、もしフランスのDFパトリス・エブラがペナルティエリア内で犯したハンドを、レフェリーが見逃さなかったら、試合はどうなっていただろうか。結果がひっくり返っていたとまでは言わないが、フランスをもっと慌てさせることはできたはずだ。

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