ドイツからくも4強進出。苦戦の原因は指揮官レーヴの守備的な選択 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 イタリアには、前回2012年大会準決勝で、まさかの敗戦を許していた。当時もイタリアは3-5-2で、後ろを固めてカウンターを狙う守備的サッカーでドイツに向かっていった。ドイツはその術中にはまってしまったわけだが、レーヴにはその時の苦い思い出が強烈に蘇ったのか。負けたくないという思いが、これまで積み重ねてきた信念や哲学を上回ってしまったのか。

 ピッチには予想だにしなかった光景が描き出されることになった。

 前戦(対スロバキア戦)で、キレッキレのウイングプレーを見せ、ドイツによい流れをもたらしたユリアン・ドラクスラーは、この布陣には適さない。収まりどころがないというわけでベンチスタートとなったことも、試合が長くなった大きな原因だ。最も期待の持てる選手をベンチに置いてまで、レーヴは3-5-2を採用した。

 3バックは、イタリアの2トップ(グラツィアーノ・ペッレ、エデル)に対して、常時+1人の関係を築ける布陣だ。カウンターへの備えは、この方がいいのかもしれない。だが、キチンとした攻撃はできない。サイドアタッカーは各1人(右ヨシュア・キミッヒ、左ヨナス・へクトル)。攻撃は単独になるので、各2人だったこれまでとは異なり、複雑な絡みはできない。高い位置に深々と侵入することもできない。ドイツのお家芸とも言えるマイナスの折り返しも期待しにくい。

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