予想外の展開。イタリアが強かったのか、スペインがひどすぎたのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 後半に入り、1点を追うスペインが攻勢を強めたため、ボールポゼッションは59%対41%まで差が広がったが、予想された試合内容に照らせば、その差はまだまだ小さかったくらいだ。最後までスペインのよさを出させなかったことは、数字も示している。

 イタリアは出足のいい守備でスペインのパスワークを寸断。加えて、球際に激しく寄せるコンタクトの強さで、イーブンボールはことごとくものにした。それでもいくつか危うい場面はあったが、そこはGKジャンルイジ・ブッフォンが防ぎ、ゴールだけは許さなかった。

 イタリアの戦いぶりには鬼気迫るものがあった。完全にスペインを飲み込んでいた。勝利した瞬間、まるで優勝したかのように爆発した歓喜が、彼らのこの試合に臨む覚悟の強さを物語っている。

 イタリアの完勝。まさにそう言っていい試合だった。

 とはいえ、大会3連覇を狙っていたはずのスペインがひどすぎた、という側面があることも否めない。

 スペインからかつてのような強さが失われていることは、すでに分かっていたことではあるが、それにしても、である。結果は別にしても、ついにスペインらしいパスワークが見られることはなかった。

 テンポよくボールを動かし、タイミングよく入る縦パスを合図に全体の動きが連動し、攻撃がスピードアップする。そんな攻撃は最後までできなかった。

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