予想外の展開。イタリアが強かったのか、スペインがひどすぎたのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 ところが、実際の試合は、立ち上がりからイタリアが互角以上にボールを保持して攻め込んだ。

 スペインは全体に動きが重く、パスコースを作れないため、ボール保持者がすぐに孤立してしまう。イタリアはそんなスペインから易々(やすやす)とボールを奪えるばかりか、クサビの縦パスを打ち込み、そこからサイドに展開する攻撃で、何度もスペインゴールに攻め込んだ。

 ときに、ボールを奪いに来る相手をいなすようにポンポンとバスをつなぐ様子は、どちらがスペインなのか分からないほどだった。

 33分に生まれたイタリアの先制点は、予想通りFKが起点となるものだったが、そこに至る過程は、一瞬のスキを突いたものでも何でもなかった。イタリアが攻勢の時間を続けるなかで生まれるべくして生まれた、ごく自然な先制点。それが率直な印象だ。

 前半のボールポゼッションは、スペインの53%に対してイタリアは47%。成功したパスの本数でも、スペインの212本に対してイタリアは210本。ほぼ五分と言っていい数字である。

 それでいてシュートの本数はスペインの2本に対してイタリアは7本。枠内シュートに限っても1本対4本なのだから、イタリアはパーフェクトな試合ができていたと言ってもいいだろう。

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