ノスタルジックな展開。英国勢同士の無骨な戦いはウェールズに軍配

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Etsuo

 とはいえ、両チームともに何も起こせなかった試合を、イギリスらしさだけを理由に、おもしろかったと評するのは無理があるのかもしれない。

 この試合を(テレビではなくスタジアムで)見ていて、決して悪い印象を受けなかったのは、両チームのサポーターによるところも大きかったのだろう。彼らが生み出す熱気は、間違いなく、試合をおもしろく感じさせる“スパイス”となっていた。

 ユーロ初出場のウェールズは、ワールドカップを含めても58年ぶりのビッグイベント出場。北アイルランドにしても、同じくユーロは初出場、最後にワールドカップに出場したのは1982年スペイン大会のことである。

陽気な北アイルランドサポーター photo by Akagi Shinji陽気な北アイルランドサポーター photo by Akagi Shinji 時代の変化の波に乗り遅れた彼らは、次第に過去の存在へとなっていったのだ。

 そんな久しく低迷期をさまよったチームが、ようやくつかんだユーロ出場である。彼らサポーターたちにとっても、長年待ちわびた大舞台だったに違いない。歓喜の発露たるや、どこの試合会場でもハンパなものではなかった。

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