ポルトガル、劇的勝利で8強へ。勝因は「苦戦続き」とレナト・サンチェス

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ポルトガルのスタメンは実際、試合毎に変わっている。この試合を含めた4試合で、使ったフィールドプレーヤーは20人中の19人。おそらくポルトガルは出場24チーム中、最も多く選手を使っているチームである。

 出場チームが16から24に増えたことで、決勝戦まで7試合に。従来より1試合増え、W杯と同数になった。優勝を狙おうとすれば、メンバーのできるだけ多くの選手をピッチに立たせ、選択肢を増やしておく必要がある。7試合を戦うための采配が求められるが、ポルトガルは結果的にそれができてしまっている。

 クロアチアは違った。3戦目のスペイン戦こそスタメンを4人代えたが、この日のポルトガル戦を含め、それ以外の3試合は同じ顔ぶれだ。完成品ではあるけれど、決勝戦からフィードバックして考えると、途中で息切れする可能性が高い起用法だ。この4戦目の戦いでも、変化の幅の少なさは、ポルトガルと比べれば明白で、試合時間が長くなるにつれ、選択肢はバラエティがなくなっていった。

 ポルトガルがもし7試合を戦うことになれば、グループリーグで大苦戦を強いられたことが薬になる可能性がある。試行錯誤しながらベスト16入りしたことが、結果的に奏功したことになる。

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