「戦術はC・ロナウド」のポルトガル。頼みのエースは覚醒したのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Etsuo

 中盤から前の6人に関して言えば、ロナウドがトップに張り、MFウィリアム・カルバーリョが中盤のアンカーとして残る以外は、それぞれが勝手に動き回る。流動的と言えば聞こえはいいが、チームとしての狙いを欠いた無秩序な状態になることが多い。

 57分にロナウドとMFジョアン・マリオの動きが完全に重なったのが、いい例だ。MFレナト・サンチェスが出した1本のパスをふたりで一緒に追い、ロウナドがトラップしたボールをジョアン・マリオが横取りするような形でシュートに持ち込んだ。このレベルの大会としては、かなりみっともないプレーである。

 選手個々の能力では、ハンガリーよりもポルトガルが上だったことは間違いない。特に後半は、FWリカルド・クアレスマ投入をきっかけに各選手のギアが一段階上がり、ポルトガルの攻撃に迫力が増した。

 だが、言い換えれば、個人能力で押しまくるだけでは限界がある。ゴリ押しの攻撃を続けるなかで、次々に失点を重ねる試合展開は、完全に負けパターンだったはずだ。

 それでもポルトガルが引き分けに持ち込めたのは、ロナウドという「稀代の点取り屋」の存在が大きかった。これまでの2試合、鳴りを潜めていたスーパースターが、ついに目を覚ました。

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