2016.06.18

ヒゲのメッシは代表での初栄冠なるか? コパ・アメリカ決勝Tスタート

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 今年3月6日。スペインの北、バスク地方にあるエイバルの本拠地イプルーアスタジアム。非の打ちどころがないシュートを決められたエイバルのGK、アシエル・リエスゴは白旗を上げていた。

「"メッシの野郎、ふざけてんのかよ"と思ったよ。シュートの瞬間、ゴールキーパーもコースも見ていない。ボールを見たまま、完璧なコースにシュートを流し込みやがった。反応できるはずがない。お手上げだったよ」

 王者バルサを迎え撃ったエイバルは、守備を固めたが、無駄な抵抗だった。アルゼンチンでは「ノミ」とあだ名をされた小さな選手は(本人はそのニックネームをひどく嫌っている)、易々と壁を突き破る巨人のようだった。

 エイバルが自陣でボールを失い、パスを受けたメッシがゴールに向かってドリブルを始める。2人のディフェンダーに行く手を封じられたが、メッシは何度か高速のシュートフェイントを入れ、ディフェンダーを後退させ、体勢を崩してしまう。頃合いを見計らいシュートコースを作ると、右隅にボールを流し込んだ。

「Serenidad」(冷徹さ)

 メッシはGKの証言にあるように、シュートの瞬間まで相手を手玉に取り、弄(もてあそ)んでさえいた。そしてシュートの場面でも少しも落ち着きを失っていない。どの場面でも完全に優位に立っていた。