2016.06.17

シュート19本で1点。ユーロの伏兵・スイスの攻撃が期待外れなわけ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hara Etsuo

 理由は単純。ボールがアタッキングサードに入ってから、ほとんどワンタッチパスが使われないからだ。

 誰もがパスを受けてから周囲を見渡し、ゆっくりと時間を使って次のパスを出す。10番を背負うMFグラニト・ジャカが象徴的だが、惚れ惚れするようなきれいなロングパスを出す技術を備えている一方で、パスを受けてからボールをこねて時間をかけるため、どうしても攻撃がスピードアップしない。

 その結果、一見、相手の背後を突いたように見えるスルーパスも、最終的には相手選手が体を寄せ、シュートをブロックできてしまうのだ。

 攻撃にいわゆる「緩急」がなく、「緩」の一辺倒。これでは相手は対応しやすい。攻撃がスピードアップするために不可欠なアイテム、ワンタッチパスがスイスには絶対的に欠けている。

 もちろん、ワンタッチパスがほとんどないのは、出し手だけの問題ではない。受け手の側に“その次”を狙うフリーランの狙いがないことも一因だ。

 前述したシュート19本のうち、枠内シュートはわずか6本。いかに相手を崩せていない、効果の薄い攻撃を続けていたかがうかがえる。コーナーキックからFWアドミル・メーメディの弾丸シュートで同点に追いつけたことは、幸運だったのかもしれない。

 中盤には攻撃志向の強い選手が揃い、ピンチの芽を摘み取れるようなタイプの選手はいない。それでいて2試合1失点は上々の出来ながら、売りであるはずの攻撃力がこれでは、この先、上位に食い込んでいくのは厳しい。