日本が学ぶべきロシアの敗戦。「大国意識」のサッカーが不幸を招く (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Hara Masashi

 ロシアは欧州サッカーの中で、あるいは世界のサッカーの中でどう立ち回ればいいのか。考えさせられる試合となった。スペインやドイツのようになれればいいが、それが難しいなら、やはりチャレンジャーに徹することだ。

 成功例として思い出すのはユーロ2008だ。ベスト4入りしたその時は、まさにケレン味のない、チャレンジャーのサッカーだった。そんなムードを自己演出していたのが、当時の監督のフース・ヒディンクだ。オランダの国土は、隣国のライバル、ドイツの8分の1しかない。「我々は小さい。だから……」。ヒディンクに限らず、ヨハン・クライフをはじめとするオランダの指導者は、自分たちがやりたいサッカーを、必ずやこうした言い回しをイントロに使って説明しようとする。

「だから、考える」。彼らは小国ならではのアイデアマンだ。ロシアとの相性はよかった。ヒディンクに率いられた当時のロシアは、レオニド・スツルスキー監督率いる今回とは、違う国の代表チームのようだった。大きな国ではなく小さな国のサッカーだった。

 無欲。邪念なく純粋にゲームに没頭していた。言い換えれば、反応の鋭いサッカーだ。

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