日本が学ぶべきロシアの敗戦。「大国意識」のサッカーが不幸を招く (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Hara Masashi

 前半33分、ウラディミル・バイスの先制弾に続き、前半終了間際にマレク・ハムシクに追加点を許し0−2で折り返した後半、ロシアはさすがに反撃に転じた。基本的にパス回しは得意だ。サッカーそのものはカウンター的ではない正統派。洗練されたものではないが、後半に入ると、それを前面に押し出しながらスロバキアを圧倒した。攻めるロシア、守るスロバキア。

 得点差は2点。にもかかわらず、スロバキアは守ってしまった。前半のはつらつとした勢いはどこへやら。ロシアを大国と認めるかのように、引いてしまった。蛇に睨まれたカエルではないが、萎縮しているようにさえ見えた。 

 ロシアには同点、逆転さえ狙えそうなムードもあったが、反撃は後半35分に挙げたデニス・グルシャコフのゴールだけに終わった。1点差として残り10分、スロバキアが「どうぞ攻めてきてください」と言わんばかりの、弱気のサッカーをしたにもかかわらず、攻め切ることができなかった。

 試合は2-1でスロバキアが勝利を収めたが、今後に期待を寄せたくなるような勝ち方ではなかった。終わり方はよくなかった。守り切ったというより、焦りをともなうロシアの拙攻に救われたというべきである。最後まで見たかったのは、小国ならではのチャレンジャー精神だ。たまたま偶発的に決まった2発のゴールを、ロシアの拙攻に助けられ守った恰好だ。

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