アイスランドとまさかのドロー。ポルトガルは優勝候補に推せるか? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 すなわち1トップはナニになる。しかし彼は、前線に張って構えるセンターフォワードタイプではない。C・ロナウド同様、DFを背にしたプレーも得意ではない。サイドに開いて構えた方が、持ち味ははるかに発揮できる。

 チーム全体のポジショニングのバランスは完璧に整っていたが、ポルトガルは攻撃のツメの部分で問題を残していた。いつものように。

 相手のアイスランドは、真面目に頑張るチームではあるが、ポルトガルが敗れる姿を想像しにくい弱者だ。ポルトガルにバランスのよさ、展開力という武器があれば、問題なさそうな相手だ。

 先制点はそうした中で生まれた。前半31分、右サイドバック、ビエイリーニャは軽快なパス交換でサイドを駆け抜け、その一つ内側(相手サイドバックとセンターバックの間)を走るアンドレ・ゴメスの鼻先にスルーパス的な縦パスを送った。バレンシア所属の22歳はそれを受けると鋭角に折り返す。ゴールニアサイドに走り込んでいたナニへのラストパスとした。

 美しくも進歩的。こちらのポルトガル株は、この先制点でいっそう上昇した。追加点が生まれるのも時間の問題のように見えた。

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