アイスランドとまさかのドロー。ポルトガルは優勝候補に推せるか?

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 4−2−3−1の3の左、あるいは4−3−「3」の「3」の左で起用すれば、彼は守備をほとんどしないので、穴を発生させることになる。事実、相手のサイドバックにこれまで何度となく攻撃参加を許してきた。C・ロナウドをどこで使うのか?

 フェルナンド・サントス監督が導き出した答えは、中盤フラット型4−4−2の2トップの一角(もう1人はナニ)だった。C・ロナウドには、リオネル・メッシなど他のスーパースターにもありがちな、場所に縛られず、奔放に動きたがる癖がある。不動のエースを自負するポルトガル代表での場合、レアル・マドリードの時以上にその傾向は顕著になる。左サイドを任されても左サイドにいないことは頻繁だったが、2トップの一角ならば、どこに流れても大きな穴にはならない。

 ポルトガルのバランスは、実際、とてもよかった。サンテチエンヌのスタンドは、吹田スタジアムをも凌ぐ急傾斜。ピッチを俯瞰するにはもってこいの構造だが、ポルトガルはその見晴らしに十分応える快適なサッカーをした。

 まず目に付くのは、アンドレ・ゴメス、ジョアン・マリオの両サイドハーフの幅だ。2人は確実に開いているので、チームとしてパスコースが多くなる。相手の最終ラインの間隔も空く。そこをC・ロナウドが突く。その動きを強調すれば、布陣は中盤フラット型4−4−2というより、4−4−1−1になる。C・ロナウドは「1トップ下」というより「1トップ脇」だ。

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