黄金期を知るパパン氏に聞く「ACミランと本田圭佑の現在と未来」 (2ページ目)

  • 緑川顕史(KWC)●文 text by Midorikawa Kenji 蔦野 裕●写真 photo by Tsutano Yu

――ミランの選手のレベルが下がってしまった?

「レベルといっても技術だけではない。ミランの選手は常に大きな期待とプレッシャーの中でプレーしなければならない。この大きなプレッシャーに立ち向かう強い心と、高い技術を併せ持っている選手こそが『プロフェッショナル』だ。私の時代も、良い状況ばかりではなかった。でも、強い心を持ったプロフェッショナルの選手が集まっていたからこそ、プレッシャーに耐えて良い結果を出すことができた」

――今のミランには「プロフェッショナル」が見当たらないでしょうか?

「一人ひとりがどうかということではなく、サッカーは11人でやるスポーツだ。多くのプロフェッショナルが必要だ。しかもミランの哲学は、『30人のチームワークですべての試合に勝つ』だから、プロフェッショナルが30人も必要なんだよ(笑)」

――そうした哲学のあるチームで「10番」を背負う選手の役割とは何でしょうか。

「どんなチームでも背番号10は特別な存在――いわば"マエストロ"だ。ファンからも選手からもそう見られるし、活躍するのが当たり前なんだ。フリット、ボバン......私の時代の『10番』は、素晴らしいマエストロだった。ミランの『10番』は、特別な中でも特別だね」

――現在のミランの「10番」を背負う本田圭佑をどう見ていますか?

「ホンダは良いプレーヤーだが、フリットやボバンとはタイプがまったく異なる。足が速くなくて体が強い、タイプとしては中盤の選手だ。起用されるポジションが合っていないし、今のシステムにもフィットしていないと思う。試合に出たり出なかったりという状況に適応できていないようにも見える。私もマルセイユでは全試合に出場するのが当たり前だったが、ミランでは違ったからね。やはり戸惑ったんだ」

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