本物のポゼッション。ユーロ優勝候補スペインと他国の差はどこか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Mutsu Kawamori

 今大会、これまで4試合を観戦したが、すべての国に共通するのはむやみにロングボールを蹴ったりしないということだ。DFラインからボールをつなぎ、攻撃を組み立てる。少なくとも、そのフリをするチームがほとんどだ。

 しかし、そのビルドアップをどれだけシュートチャンスにつなげているかと言えば、かなり怪しい。ボールを持っていない選手のポジショニングが悪いために全体の動きが連動せず、場当たり的に何となくパスをつないでいるだけで、何も起こらない。

 要するに相手の"前"でパスを回すだけで、"背中"を取れていないのだ。

スペインの中盤の要、アンドレス・イニエスタスペインの中盤の要、アンドレス・イニエスタ 背中を取る、とは、DFラインの背後を狙っている、というだけの意味ではない。中盤であっても、自分をマークする相手の背中を取ることで、守備網全体が徐々に崩れてくる。局面の一つひとつ、パスの1本1本で相手の背中を取ることの積み重ねが、最終的にシュートチャンスにつながるのだ。

 その点、スペインのビルドアップは明らかにレベルが違った。シャビが抜け、他の主力選手も年齢を重ね、以前ほどの威力がなくなったことは否定できないが、それでも他国とは比べものにならない。

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