2016.06.14

イブラヒモビッチ、必殺の「マイナスの折り返し」でドローに持ち込む

  • 杉山茂樹●文text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 スウェーデンも両サイドの高い位置にボールを運べずにいた。ピッチに描き出された陣形は菱形で、クリスマスツリー型のアイルランドより、若干ましといった程度だった。誇るべきサッカーができていたわけではない。大黒柱のイブラヒモビッチは前線で孤立。業を煮やし下がってパスを受けようとすると、今度はボールがゴール前に行かなくなるという悪循環に陥った。

 しかし後半3分、総合力で劣るアイルランドが先にゴールを奪ったために、試合の流れに変化が生じたことも確かだった。目の前に勝利がちらつき無欲ではなくなりだしたのか、徐々にアイルランドの動きから奔放さが失われていく。逆にスウェーデンは窮地に立たされたことで、開き直ることができた。変なプライドをかざしている余裕がなくなったというべきか。

 試合は打ち合いになった。南米的な要素ほぼゼロ。洒落っ気はないが面白かった。お互い実直で真面目そうな選手で固められているのに、ドタバタしていて不安定。見慣れない種類の新鮮さ溢れる好試合となった。

 後半26分。スウェーデンはさすがに追いつくことになる。それは同点に追いついたという事実より、得点に至るプロセスに意義を感じる鮮やかなゴールだった。得点者はアイルランドのセンターバック、キアラン・クラーク。オウンゴールだったにもかかわらずだ。