タラゴナ鈴木大輔、1部昇格ならずも「ファンが残れと言ってくれた」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

「1点でも入れたら、スタジアムの空気は劇的に変わる。一体になって戦うだけ。アウェーゴールをポジティブに考えています」

 柏レイソル退団後に練習生からポジションをつかみ、これで15試合連続先発フル出場となるセンターバックの鈴木は、あくまで前向きだった。

 そして実際、試合はナスティックのペースで始まる。

 オサスナの選手がどこか浮き足立っている。ボールが足につかない。アウェーの雰囲気に呑まれかけていた。

 ナスティックはそれを見逃さず、ボールをつなぎ、回し、イニシアチブをとった。そして8分、いくつかパスをつないだ後、スピードのある右サイドバック、ジェラルドが敵DFと入れ替わるようにして前に持ち込み、ファーに走りこんでいたナランホに合わせ、先制した。

「いける、と思いました。でも、同時にいつも通り自分はプレーすればいい、とも感じていましたね」

 そう振り返る鈴木は、ロングボールに対して非凡なヘディング能力を見せ、この日は一度も負けていない。かつてバルサで活躍したメホ・コドロの息子、ケナンを空中戦では完封。また、日本では単純なスプリント力が持ち出され、「足が遅い」という不当な評価だったが、スペインでは間合いや予備動作も含めた速さが問われ、誰に聞いても「RAPID」(速い)という評価だった。

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