フランス熱狂への波が始まるか。ユーロ開幕戦はパイエが開催国を救う (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文text by Asada Masaki photo by Hara Masashi

 しかも、最後の最後で強烈なミドルシュートを叩き込み、決勝点を決めたのだから、今日の主役は文句のつけようもなくパイエである。フランスは引き分け寸前のところで、プレミアリーグのウエストハムでプレーするこのMFに救われた。

 ワールドカップも含め、29歳にして初めて大舞台に立ったパイエ。フランスは意外な伏兵に助けられたと言ってもいいだろう。

 本来ならば、こう着した試合を打破してくれる切り札として期待されていたのは、後半途中から出場したFWキングスレイ・コマン、マルシャルといった若いタレントだったはずだ。

 こうした大会でチームが勢いを持って勝ち上がっていくには、新星の誕生が必要。まして地元の盛り上がりが結果に大きく左右する開催国にとっては、その効果はさらに大きくなる。

 フランス代表ではまだ実績が乏しい、19歳のコマン(開幕戦の3日後に20歳の誕生日を迎える)、20歳のマルシャルらが国際舞台でブレイクすることは、フランスの16年ぶりのユーロ戴冠を大きく引き寄せる。

 思えば、フランスが地元で優勝を果たした1998年ワールドカップでは、ともに当時20歳のFWティエリ・アンリ、ダヴィド・トレゼゲが活躍し、その後に訪れる黄金期を築くきっかけとなった。やはり、こうした新たなタレントが台頭してくることは、単なる勢い以上のものをチームにもたらしてくれる。

 とはいえ、18年前のアンリやトレゼゲにしても、大会初戦からバリバリ活躍していたわけではない。チームが試合を重ねるなかで、彼らは先輩選手が作り出した波にうまく乗り、自らの特徴を発揮していった。

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