オランダ人も応援。「シンデレラ」ベルギーのEURO優勝はあるか (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper   森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ベルギー代表は強いだけではない。見ていて面白い。監督のマルク・ヴィルモッツは、ベルギーの伝統だったカウンター主体のフットボールを捨て去った。

 ヴィルモッツは2014年に僕にこう語った。「私には新しいビジョンがある。前に進まなくてはいけない。今までのようなベルギーではだめだ。ゲームを自分たちが動かさなくては」

 ベルギーはフラマン語とワロン語というふたつの言語圏に分裂しているので、あまりナショナリズムが高まることはない。しかし今回のユーロでは、黒・黄・赤の国旗がベルギーだけでなく、隣国のオランダでも目立つことになるだろう。

 僕が80年代にオランダで育ったころ、オランダ代表は主要大会の出場を何度も逃した。そんなとき僕らは、代わりにベルギーを応援したものだ。

 この伝統が復活しつつある。フェイスブックに生まれた「ベルギーファンになるためのワークショップ」というグループには、すでに8万人以上のオランダ人が登録している。

 ベルギーよ、どうか僕たちを失望させないで。

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