【EURO】若返りにも成功した世界王者ドイツに「2つの不安材料」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 23人の名前を見ると、ブラジルW杯からはかなり入れ替わっている。GKはマヌエル・ノイヤー(バイエルン)以外の2人が替わり、DFでは7人中4人が入れ替わっている。FWはマリオ・ゲッツェ(バイエルン)に加えて、今大会チーム最年少、20歳のレロイ・サネ(シャルケ)を抜擢。そしてトルコのベシクタシュでリーグ優勝に貢献したマリオ・ゴメスが復帰した。

 大ベテラン、ゴメスの復帰はさておき、23人中13人が1990年以降の生まれで、チームは着々と若返りを進めている。06年ドイツW杯のルーカス・ポドルスキー(ガラタサライ)、10年南アフリカW杯のメスト・エジル(アーセナル)、そしてブラジルW杯のゲッツェと、大舞台で若きスターを輩出してきたドイツらしい、バランスのとれた構成となっている。

 とはいえ、各ポジションの主要メンバーは変わっていない。そのスタイルが大きく変わることもなく、バイエルンばりの支配を強めて主導権を握るサッカーを見せてくれるはずだ。ブラジルW杯の再現を願う国民の期待も高まっている。

 あえて不安材料を探すならば、まさにそのバイエルンが参考になるのではないか。試合の主導権を握って全体が高い位置をキープするそのスタイルには、ふとした油断を突かれてカウンター攻撃を受ける危険性がつきまとう。アトレティコ・マドリードがチャンピオンズリーグ準決勝で仕掛けたような戦いを一発勝負の決勝トーナメントで挑まれたら、目標達成は遠のくことになりかねない。

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