【EURO】58年ぶり出場ウェールズ。A・ラムジーの「決意表明」 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 転機になったのは、今大会の予選だった。予選グループには2014年W杯に出場したベルギーとボスニア・ヘルツェゴビナのほか、難敵のイスラエルも同居し、ウェールズにとって決して楽な組み合わせではなかった。しかし、「堅守速攻」の戦術を徹底し、システムも対戦相手に応じて3バックと4バック、5バックを上手に使い分けた。加えて、「7~8年の歳月をかけて同じメンバーで戦ってきた」と、MFアーロン・ラムジーが胸を張るように、所属クラブでプレーしているような息のあった連係を披露し、接戦を次々とモノにしていった。高い組織力は、ウェールズの武器である。

 こうした団結力やハードワークをチームの基軸としながら、その力をさらに上のレベルへと昇華させたのが、ベイルである。マイボールになると、選手が「パスの送り先」として真っ先に探すのがこのベイルで、ドリブルでの単独突破やミドルシュート、鋭いスルーパスで敵の最終ラインを切り裂いた。ウェールズが同予選で記録した11ゴールのうち、レアル・マドリード所属の26歳アタッカーは7ゴール・2アシストの大活躍。合計すると8割強のゴールをもたらした彼の存在なくして、ウェールズのユーロ出場はありえなかった。コールマン監督も語る。

「得点を決めないことには勝利できないが、幸いなことに、我々にはベイルがいる。世界屈指のタレントがいることで生まれる差は、とてつもなく大きい」

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