続くユベントス一強時代。ミラン、インテルはこうしてダメになった (5ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by Getty Images

 選手補強の失敗、選手のメンタリティーの問題。その原因は数々あるが、元凶はテクニカル面にまで口を出すオーナー、シルビオ・ベルルスコーニの存在だろう。自分の好むシステムに固執し、監督が気に入らないとクビを切る。おかげでチームのどこもかしこも混乱をきたし、ミランのシーズンはまたも失敗に終わった。

 ライバルたちがそれぞれの問題で手を焼いている間に、ユベントスは見事、復活した。開幕当初はビッグチームでのプレーに戸惑っていたFWパウロ・ディバラもチームに馴染んで活躍。シーズン後半には圧倒的な強さを取り戻し、10チーム以上をごぼう抜きにして優勝を果たした。

 ユベントスにあって他のチームになかったもの。財力、組織力、運営手腕など多々あるが、中でも重要な役割を果たしたのは人材だろう。第10節のサッスオーロ戦に敗れたあと、ユベントスのロッカールームではジャンルイジ・ブッフォンを中心とするベテラン選手たちがチームメイトに向かって喝を入れた。

「俺たちはユベントスだ! これ以上ぶざまな姿は見せられない」

 そしてこのどん底の日を再スタートの日に一転させたのである。ブッフォンたちのような誇りとやる気を起こさせる核となる選手を、多くのチームは欠いている。この夏、他のチームがよほど大きな覚悟をもってチーム改革に乗り出さない限り、しばらくはユベントス一強時代が続きそうだ。

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