ファン・ハールとベンゲル。高齢化した「改革派」監督たちの悲哀 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper   森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 しかし彼も、さまざまな面で改革者となった。選手には試合前のベークドビーンズとコカ・コーラの食事をやめさせ、野菜を食べるように言い、統計を活用し、フランスから次々といいプレーヤーをスカウトしてイングランドのライバルたちを驚かせた。

 若い改革者は活力と自信にあふれているから、ときとして周囲をいら立たせる。モウリーニョは41歳のとき、自分を「スペシャル・ワン(特別な存在)」と呼んだ。ファン・ハールは同じくらいの年齢のとき、ある記者に「私の頭がよすぎるのか、それともきみがバカなのか」と言った。だが、若いうちに成功を収めることほど強いものはない。

 振り返れば、多くの改革者はキャリアのピークを40歳ごろに迎えている。これはフットボールの世界にかぎらない。米デューク大学のビベク・ワドワが高成長を遂げている12の業種で成功を収めた549人の起業家を調査したところ、彼らが企業を立ち上げた年齢の平均値と中央値はどちらも40歳だった。
(つづく)

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