心を鬼にした長谷部誠、フランクフルト1部残留も、古巣を破って複雑 (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 後半に入るとフランクフルトはより圧力を強めていく。57分には、負傷から復帰後なかなか調子が上がらず、この日はベンチスタートになっていたアレクサンダー・マイアーを投入。すると66分、ミヤト・ガチノビッチが左サイドからドリブルでエリア内に侵入し、中央へボールを送ると、フリーのハリス・セフェロビッチが合わせてフランクフルトが均衡を破った。

「こういう戦いの中では、ガチノビッチのような若くて、ラッキーボーイ的な存在が出てくると大きいですね」(長谷部)

 残留へ向けて大きな期待を寄せられていたのは、復帰したチーム得点王マイアーだったが、第1戦に続きフランクフルトを救ったのはガチノビッチだった。

 このゴールで状況は一転し、ニュルンベルクが攻撃に出たこともあってフランクフルトは守備を固める展開に。しかし、ニュルンベルクに危険なシーンを作られることはなく、1点のリードを守り切って1部残留をつかみとってみせた。

 試合が終わると、長谷部は脱力したようにガックリとピッチに膝をついた。そしてフランクフルトの選手が喜びを爆発させる中、ただ一人ニュルンベルクの選手のもとへ歩み寄り、静かに握手を交わした。フランクフルトのファンが陣取るエリアまで赴き、他の選手たちが歓喜に沸いていたときも、長谷部には喜びの表情が見られなかった。

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