ドイツ杯決勝。香川真司が敵将グアルディオラに鍛えられたこと (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 この2年間のペップ・バイエルン戦における香川の仕事は、中盤の底で攻撃を組み立てるシャビ・アロンソをマークすることだった。このバスク人MFはペップの強い要望で獲得され、ペップの現役時代を思わせるような選手だ。長短のパスを織り交ぜて攻撃陣へ高精度のボールを供給するアロンソはバイエルンの攻撃の起点であり、供給源を断つことができるかどうかは大きな問題だった。

 香川にとってペップ・バイエルンと最初の対戦となった昨季リーグ前半戦の対戦では、その役割をうまく果たすことができた。試合には敗れたものの、香川は組み立ての際にDFラインまで降りるアロンソに対してマンマークに近い形で貼りつき、自由に攻撃を組み立てさせなかった。

 だが、世界最高の指揮官は手を打ち、攻撃の組み立てをさらに進化させてきた。

「想像以上に走らされたというか、特に前半は(守備が)ハマらなかった。ボールの取りどころがはっきりしなかったから、やはり(ボールを)取った後も(ドルトムントが)なかなか数的優位ではなく、(その後の攻撃も)雑になりましたし、苦しかったのが本音ですね」

 これは、昨季のドイツ杯準決勝バイエルン戦の後に香川が語ったものだ。

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