セビージャがEL3連覇。リバプールを一蹴した「攻撃は最大の防御」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 決勝戦。入りがよかったのはセビージャだが、先制点を奪ったのはリバプール。前半35分、ダニエル・スタリッジが決めた左足のアウトフロントキックは、いったん、枠外方向に飛び出しながら、スライスが掛かりサイドネットに収まるという、右利きの人間にはフック弾道に見える画期的かつ芸術的な弧を描いた。スタリッジに対峙していたブラジル人SB、マリアーノ・フェレイラは、マークについていながら、なすすべもなくやられた。スタリッジに技巧を発揮された。

 ブラジル人選手にとってマタ抜きされることほど屈辱的なことはないと聞く。技巧派は自分以上の技巧を発揮されると穏やかではいられないそうだが、その闘争心は後半開始直後、同点ゴールのアシストとして発揮された。マリアーノ・フェレイラは、相手2人に囲まれながらも縦突破を決め、マイナスの折り返しに成功。フランス人FWケビン・ガメイロに同点ゴールをもたらした。

 リバプールはそこで前を向けなかった。攻撃的になれなかった。逃げ切りを図っていた矢先に失点を喫し、セビージャに攻勢を許した。急に欲が出てしまったという感じだ。来季のCL本選出場。EL優勝チームに与えられる大きなご褒美が目の前にちらついてしまった。そう言っていい。

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