【EL】名門リバプールは11年ぶりの国際タイトル獲得なるか? (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 振り返れば就任以来、ドルトムント時代に実践していた激しいプレッシングと素早いショートカウンターを封印したクロップは、まず前任者ロジャーズの"つなぐサッカー"を踏襲した。そのなかで、ドルトムント時代のような攻守におけるスピード感を選手たちに植え付け、いずれ自らのスタイルを実現するための下地を整えたというのが、チーム作りの現在地だ。

 見方によってはドルトムント時代と比べて、中途半端な印象を受けるかもしれない。だが、それでも低迷していた名門にふたたび情熱を呼び覚まし、チームの雰囲気をガラリと変えた功績は大きい。それこそが改革の第一歩であり、クロップがサポーターから支持され、また期待される理由でもある。

 もっとも選手起用については、就任当初から"クロップ色"を打ち出しているのも事実だ。たとえば、中盤の底にそれまで複数のポジションをこなしていたエムレ・カン(ドイツ)を固定。若くて運動量があり、それでいてしっかりとした技術と戦術眼を持つカンを"へそ"に置いたことで、チームの機動力は確実にアップした。

 また、アタック陣ではロジャーズ前監督に重用されていたクリスティアン・ベンテケ(ベルギー)から、ロベルト・フィルミーノ(ブラジル)や21歳のディボック・オリジ(ベルギー)にシフトチェンジ。特にドイツ・ホッフェンハイム時代のフィルミーノをよく知るクロップは、抜群のテクニックとシュート精度を誇るフィルミーノに全幅の信頼を寄せ、本職のトップ下のみならず、1トップで起用することもあった。

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