番記者に聞く。「なぜミランは今季もこんなにグダグダなのか」

  • 宮崎隆司●取材・構成 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

――ただ、走れないボアテングをトップ下で先発起用することは理解しがたいと言われることもあります。

 それはブロッキ自身も十分わかっているだろう。だが、それを実践しなければならない理由があった。つまり、ピッチ外における人間関係が優先されたという類の話だ。事実、ヴェローナ戦(第35節)からは本田圭佑がスタメンに復帰している。

――クラブ売却が盛んに報じられる一方で、ズラタン・イブラヒモビッチ復帰が単なる憶測ではない域で語られています。

 クラブ売却については、現時点では単なる“飛ばし”のレベルでしかない。下手な喩(たと)えになってしまうが、今のミランというクラブは「燃費の悪い、故障ばかりの中古車」のようなもの。そんな車を誰が買うのか? 

 所有する資産はミラネッロ(トレーニング施設)のみ。自前のスタジアムも持っていない。グループ全体の人件費は年単位で200億(円)を超えるとされる。しかし、今年の決算(マイナス約90億円)が示すとおり、投資に見合うだけの収入は見込めない。これだけ不利な条件が揃うクラブに1000億円もの額を投じて買収する者が現れるとは考えにくい。

 一方、厳しい財政状況にあるとはいえ、イブラヒモビッチ復帰は低くない確率であり得る。イブラひとりの獲得で、ミランは一気にリーグ3位内を狙えるチームに変貌するからだ。当然、3位(=チャンピオンズリーグ出場)となればイブラひとりの年俸を賄える。昨夏は交渉成立目前で親会社(フィニンベスト)の横槍が入って破談となったが、今夏には違う結果が待っているのではないか。イブラ復帰が実現すれば、本田圭佑もその恩恵を多分に受けることになるだろう。

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