番記者に聞く。「なぜミランは今季もこんなにグダグダなのか」 (2ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・構成 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

 今のミランがかつてのように強くないとはいえ、この4チームは負けるべき相手ではない。むしろ、降格組との3戦では勝ち点「9」を手にできる確率が高い。順当にいけば、第37節を終えた時点での順位はフィオレンティーナと同率か、それを上回って単独5位につけている可能性もあった。

 ところが、まったく意味のない監督交代によって、長い時間をかけてつくり上げたチーム内部の結束が壊れた。

――結果、第33節のサンプドリア戦は辛勝(1−0)するも、続く対カルピは0−0と不甲斐ない試合でした。

 そして、ヴェローナ戦(第35節)は後半ロスタイムにFKを決められて敗戦。降格が決まっていた相手に、無様な姿を晒した。第36節では、今季の昇格組で初のセリエAとなるフロジノーネに3得点を献上した。B降格組との3戦で得た勝ち点は、わずかに「2」だ。

――クリスティアン・ブロッキ新監督は、ユースの指導経験しかない。彼の力量を問う声もあります。

 ブロッキをユースの監督からトップに昇格させたのはオーナーのベルルスコーニであり、クラブ首脳はブロッキに次の3点を絶対的な義務として課している。

(1)ミハイロヴィッチが志向していた4−4−2の否定。
(2)スタメンにボアテング、メネズ、バロテッリを入れる。
(3)積極的な若手の起用。

 
(1)はベルルスコーニの好きな4−3−1−2を採用するということになる。(2)は、いわゆる"ベルルスコーニお気に入り"の選手を起用しろということ。ベルルスコーニを知る者からすれば何ら珍しいことではない。このオーナーによってトップチーム監督の座を与えられたブロッキが、(3)も含めてオーナーの命に逆らうことができるはずもない。

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