川島永嗣、再び新チーム探しへ。「リスクを冒してでも欧州でやる」 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 川島は代表に呼ばれなくても、地道に納得のいくチームを探すことを優先させた。とはいえ、一時期は選択肢が全て消えたこともあった。当時の心境を聞くと、いつもは饒舌な川島が「言葉では言い表せない」と苦笑いするだけだった。

 それでも幸いなことに練習参加させてくれるクラブには恵まれた。イタリアのノヴァーラや、岡崎慎司のいるレスターなどだ。

 後にプレミアで優勝を飾ることになるレスターでは、43歳の第2GKマーク・シュウォーツァーと直接話をする機会があった。川島が若い頃、当時の指導者からその話を聞き、その向上心を自らと重ね合わせてきたオーストラリア人GKだ。チェルシー在籍時の2013年には、41歳にして初めてCLに出場した経験を持つ。32歳で所属先の決まらない時期を過ごしていた川島にとっては、勇気づけられる存在だった。「もっとうまくなりたい。そのためにはどうしたらいいのだろう」と、原点に立ち返らせた。

 刺激を受けて前を向くこともあれば、先の見えない中でネガティブな考えにとりつかれることもあった。

「もう自分は頭、おかしいんじゃないかなと思った。自分が勘違いしているだけなんじゃないかな、自分の感覚が正しくないんじゃないかなと思うこともありましたし」

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