CL決勝はマドリードダービーに。バイエルンとマンCが敗れた理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 だが、バイエルンにその手の選手は見あたらない。つい先輩風を吹かせたくなる実績十分のフランク・リベリーでさえ、協調性の高いプレーを一貫して披露した。悪いところはほぼ皆無。敗因をあえて挙げるなら、トーマス・ミュラーのPK失敗。そして相手のアトレティコが強かったことだ。

 強者と対戦することに慣れたチーム。アトレティコは言い換えればそうなる。バルサとR・マドリード。この2つの巨大チームと常に向き合っているアトレティコと、ライバルと呼べるチームが、せいぜいドルトムントぐらいしか見あたらないバイエルンと。普段の環境の甘さこそが、一番の敗因と言えるのではないか。ブンデスリーガにアトレティコは存在しないのだ。

 アトレティコに限らず、スペインの3番手チームにはCLにおいて番狂わせを繰り広げてきた過去がある。99〜00と00〜01シーズンにCL決勝に進出したバレンシア、03〜04シーズン、CLベスト4に進出したデポルティーボ。クラブの規模を考えれば、称賛に値する結果になるが、その背景として挙げられるのが、圧倒的な強者(バルサ、R・マドリード)と対戦することへの慣れだ。これはイングランドの3番手と、スペインの3番手との大きな違いでもある。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る